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生命を守る楯:地球の磁気シールドは意外と古い (BBC-Science & Environment, July 31, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/169F1/production/_84575629_magneticfield.jpg

  太陽は、核融合反応(fusion)で生み出される膨大なエネルギーを放出し、暗い宇宙を照らす。地球上に住む人類は、そのお天道さまのお陰で作物を育て、収穫し、生きながらえてきた。古代の人々が太陽を神と崇めたことも、無理がないと思う。

 しかし、太陽は、人体に有害な高エネルギープロトン(high energy protons)などの宇宙放射線やプラズマ(荷電粒子)も放出し、これらが太陽風(solar winds)となって地球を襲っている。これをまともに受けると、地球の大気は吹き飛ばされ、生命体は死滅する。
 この状況で、太陽風の流れを逸らして、地球を防御しているのは「地球の磁場(earth magnetic field)」。磁場が防御の楯(shield)として働いているのだ。

 地球ダイナモ説(geodynamo theory)によると、地球の磁場は、地球内部の外核(outer core)で、溶融した鉄(molten iron)が回転することによって発生する。このとき必然的に生じた熱の対流は、地殻を移動させる原動力となる。この結果、大陸は移動し、ときに大陸と大陸が衝突しては山脈を造り、あるいは地殻にひずみエネルギーを蓄えて、巨大地震を起こす。大陸の移動は、プレート・テクトニクス理論(plate tectonics theory)の裏付けとなるものとして知られている。

 さて、地球の磁場は、磁場が形成された段階で、鉱物の結晶内に「原子の電子スピン配列」として記録される。そのデータは一度記録されると、配列が崩れるほどの高熱に遭遇しない限り、消えることはない。その熱はキュリー温度(Curie temperature)と呼ばれ、
磁鉄鉱結晶(magnetite)のキュリー温度は580℃。

 アメリカRochester大学の研究チームは、西オーストラリアのジャック・ヒルズ(Jack Hills)地域に露出する地球最古の岩石に注目した。この岩石に含まれるジルコン結晶(zircon crystals)には、岩石として固まった当時すなわち地球初期の磁場が記録されているはず。

 ジルコンを岩石から丁寧に取り出し、ウラン・鉛年代測定法に基づいた鉄イオン・マイクロプローブ(iron ion micro-probe)によって、その年代を測定した。
 同時に、ジルコンに記録された微少な磁場は、超伝導量子干渉計(superconducting quantum interfering device, SQID)を参考にして開発した特別仕様の磁気探知機(special magnetometer)で測定した。

 その結果である。
"Data on our planet's magnetic field was found to be preserved in ancient crystals embedded in rock formations in the region."

 ジルコン結晶が生成された年代は、今から40億年前と判明。また、その40億年前の地球の磁場は、現在と同じであった。つまり、この40億年間、地球の磁場は変わらなかったことになる。
 今からおよそ約46億年前に地球が誕生し、その後、何らかの大事変(event)が起こって、月が誕生したとすれば、その大事変で、地球が誕生した当初の磁場は消えてしまったとも考えられる。すると、大事変は46億年前から40億年前の間で起きたことになるが。

 電子スピン配列や微少な磁場を手がかりに、太陽系創生期の宇宙の解明に迫るとは、驚いた。世の中には優秀な科学者がいるものだ。
 この研究の詳細は、科学雑誌「Science」に掲載された。
 
                         (写真は添付のBBC Newsから引用)

 

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