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冥王星に「固体窒素の氷河」:探査機ニューホライズンズ発見 (BBC-Science & Environment, July 24, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/555/cpsprodpb/A704/production/_84465724_nh-pluto-in-false-color.jpg

  冥府の王と言えば、閻魔大王(閻魔さま)のこと。しかし、ローマ神話では「Pluto」となる。その名前のついた「冥王星(Pluto)」。質量は地球の500分の1で、意外と小さい。そこで「準惑星(dwarf planet)」と呼ばれることになった。
 2006年、冥王星を目指して、NASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙探査機ニューホライズンズ(The New Horizons probe)が地球を飛び立ち、宇宙を旅すること9年。今、探査機は、冥王星の周回軌道に入り、その大気や、地形等の観測を続けながら、データを地球に送っている。

 冥王星の表面には、冥王のいたずらを思わせる、大きなハートマークがあった。そのハートの西に、凍った「スプートニク平原(Sputnik Planum)」が広がる。平原が途切れて、山脈にかかる辺りで、科学者が驚く大発見があった。

 高解像度カメラが捉えた映像には、氷河の流れによく似た模様「wavy patterns」が映し出されたのだ。それは、まさに、衛星写真でよく目にする地球の氷河の光景そのもの。準惑星の内部から涌き出る熱流によって、山脈の固体窒素(nitrogen ice)の氷が溶かされ、下流に流れた氷河の軌跡と考えられている。ただし、現在、ニューホライズンズから地球に送られたデータは、この7月14日以来、探査機が集積したデータの、ほんの4,5%。このため、氷河と断定するためには、もっとデータが必要と、NASAは慎重だ。

 さらに、発見があったのは、大気の状態。当初考えられていた値よりも、大気はかなり薄く(more rarified atmosphere)、大気圧は地球の10万分の1。

 また、地表付近は「もや(hazes)」がかかっていた。上空で分解したメタン(methane)が、太陽光線を浴びてエチレン(ethylene)やアセチレン(acetylene)に変換され、それが地上に降下する間に、冷却されて凝結(condense)し、細かい氷の粒子となって空中に漂っているものと考えられている。これらの化学物質の一部は、金属元素と結びついて錯体(complex)を形成し、地表に降り注いで、冥王星に、赤みがった色彩(reddish hue)を与えているものと、説明される。
                   
 いやはや、NASAの分析は細かい。闇深い冥府の果てに、静かに公転していた冥王星。その「心(interior activity)」は静穏でいられようか。心配だ。

                                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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