シャーウッドの森(Sherwood Forest)と聞けば、ロビン・フッド(Robin Hood)。ハワード・パイル(Howard Pyle)作「ロビン・フッドのゆかいな冒険」(The Merry Adventures of Robin Hood)は、あまりにも有名。いつの時代も、貧乏人と正義の味方は、ヒーローだ。
そのロビン・フッドの舞台となったシャーウッドの森は、イングランド中央部のノッティンガムシャー州(Nottinghamshire)ノッティンガム(Nottingham)に広がる。この地では古くから石炭が利用されていたが、19世紀から20世紀にかけて、地下に埋蔵された膨大な石炭層の開発が本格的に進むと、幾つもの炭鉱が稼働し、その炭鉱を中心に町が形成されて、全国各地から人が集まるようになっていった。
エネルギーを石炭に頼った時代、石炭は黒いダイヤと呼ばれるほど、宝物扱いにされた。
最盛期にはこの州だけで42の炭鉱と4万人の炭鉱労働者が働いていたという。その炭鉱の歴史に、2015年7月10日(金)、幕が下りた。ノッティンガムシャー最後の炭鉱のソレスビー炭鉱 (Thoresby Colliery)が、これまで90年間、石炭を掘り続けたが、ついにその「ヤマ」を閉山したのだ。
表題の記事では、貴重な写真とともに、ヤマに賭けた「ヤマ男(miners)」たちの思いが伝えられている。
イギリスでは、北ヨークシャー州(North Yorkshire)のケリングリー炭鉱 (Kellingly Colliery)が、今年12月に閉山する予定。したがって今年中に、イギリスの産業革命を支えた「石炭採掘(British Coal Mining)」は事実上、終了する。
これで、「Colliery (炭鉱)」を意味する具体的な「場」が地上から消えて、その単語は「歴史」の教科書で目にする英語となる。
時が過ぎるということは、歴史も、産業も、文化も変わること。いつか、「petroleum (石油)」、「nuclear power (原子力)」も古くさい言葉になる日が、必ず来るに違いない。
(写真は添付のBBC Newsから引用)