サンスクリーン(日やけ止め)クリーム:まぎらわしい、その表示SPF (BBC-Health, June 26, 2015)
夏だ。青い空と、明るい日射し。誰でも開放的な気分になる。つい、山だ、海だと、はしゃぎすぎ、顔も手足もヒリヒリするほど日やけすることもある。
さて、最近は夏が近づくと、どこの薬局でも、店の一番目立つコーナーに、各種のサンスクリーン(日やけ止め)クリーム(sunscreen creams)を置くようになった。それだけ、みんなが日射しを気にするようになったとも言える。
商品には「SPF30, PA+++」などの記号が読める。ただし、説明書きは活字のデザインを重視するせいか、小さな文字の青インクで印刷されている。これでは、「サイズも分からずに、靴を買うようなもの」だ。
英国王立薬剤師会(The Royal Pharmaceutical Society)が、イギリスに在住する2,000人を対象として、記号「SF」の認識度調査を実施した。その結果、5人に1人が、これを間違って認識し、SPFは、「強い太陽の日射しから皮膚の損傷を防いでくれるクリームの強さ(rating)」、と理解していることが明らかとなった。
ちなみに、「SPF」は「紫外線防御指数(Sun Protection Factor)」の略で、皮膚がヒリヒリと赤くなる日やけ(sunburn)の原因となる、紫外線B波(ultraviolet B ray, UVB)に対する遮蔽効果の程度を表わす。
一方、「PA」は「UVA防御指数(Protection Grade of UVA)」の略。遮蔽効果の対象とするのは紫外線A波(ultraviolet A ray, UVA)。この紫外線A波は皮膚の深層まで到達し、メラニンを増やして黒ずんだ肌にする。いわゆる、皮膚の老化(skin ageing)とシワ(wrinkles)の原因だ。
「SPF」と「PA」の守備範囲はまったく違う。
しかし、重要なことは、UVA、UVBのどちらの紫外線も皮膚組織に損傷を与え、悪性黒色腫ガン(malignant melanoma cancer)や非黒色腫皮膚ガン(non-melanoma skin cancer)などの皮膚ガンを引き起こしかねないこと。
「The British Journal of Cancer」に発表された研究論文によると、毎年、イギリスで発症する黒色腫(melanomas)患者の86%は、強い日射しまたは人工太陽照明(sunbed)の浴び過ぎが原因と推定されると言う。
英国ガン研究所(Cancer Research UK)は、「外出する際には、2時間ごとに、大さじ(tablespoon)2杯分のサンスクリーン・クリームを塗ること」と勧める。この量のクリームを顔に塗るとすれば、顔中がベタベタで、真っ白になってしまうはずだ。とても実際にできることではない。
では、どうすればいいか。専門家のアドバイスは続く。「11:00から15:00までの日射しが強い時間帯は、日陰ですごすように」。結論は至ってシンプルであった。
(写真は添付のBBC Newsから引用)