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紅海の深海蛍光サンゴ:その特徴と医療への応用 (BBC-Earth, June 25, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/wwfeatures/976_549/images/live/p0/2v/k8/p02vk8pz.jpg

  海は深度が増すにつれて、到達する太陽光が弱くなる。紅海(Red Sea)の深度50mから100mの海底で、その弱い太陽光を受けながら、妖しげな色彩を放つサンゴ礁(coral reef)が発見された。このサンゴは自然光を受けると、波長の短い青色・紫外線スペクトルを吸収し、波長の長い赤・緑スペクトルを反射する。ある種のタンパク質(proteins)で構成される蛍光色素(fluorescent pigments)のなせる技だ。

 比較的浅いサンゴ礁が色鮮やかな色彩(colour pigments)で彩られているのは、強い太陽光の日射しから自らの体を守るためであり、また、その色素を日よけ(sunscreen)として使って、サンゴ組織内に生息する共生藻(symbiotic algae)を優しく保護するためでもある。

 共生藻は、サンゴに、そのエネルギー源となる糖分(sugar)を提供し、逆に、サンゴは、共生藻に、その肥料となる窒素・リン主体の廃棄物を与える。

 太陽光が十分に届かない深海に生息するサンゴでは、事情が違ってくる。
 深海になると、サンゴは、過度の太陽光によって引き起こされる組織の損傷を心配する必要がなくなる。しかし、共生する光合成藻(photosynthesising algae)が生き抜くためには、適度な太陽光が必要だ。
 今回、発見された蛍光サンゴ(fluorescent corals)の蛍光発光(fluorescence)は、弱い太陽光の環境の中でも、共生藻の光合成を効果的に進めるためではないかと考えられている。 
 光の届かない深海で、蛍光サンゴは、静かに、確かに、そして巧みに、その生物学的機能(biological functions)の進化(evolution)を遂げてきたのだ。

 この蛍光サンゴの色素は、現在、生体細胞(living cells)の着色トレーサーとして医学・医療分野で利用されている。これを生体細胞に注入すると、動的な細胞過程(cellular processes in action)や特定の遺伝子活動(genes activity)の可視化追跡が可能となる。
 
 これまで見たこともなかった新種の蛍光色素タンパク質。その特性を十分に解明し、ガンの発生メカニズムの解明をはじめ、種々の医療技術の開発に応用する研究が期待されている。
                                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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