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海草藻場: 「さかなのゆりかご」をもっと大切に (BBC-Science & Environment, June 27, 2015)

 

http://ichef.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/0E83/production/_83851730_15spinedsticklebackcopyrightfrogfishphotography.jpg

 海草が群生している比較的浅い海域を海草藻場(もば)(seagrass meadow)と言う。ここは、穏やかな流れに海草がゆらめき、魚にとっては「かくれんぼ」や「寝場所」に最適。おまけにエサが豊富で、水もおいしい。海草がせっせと水中の窒素やリンを吸収して水を浄化し、加えて日中になると、植物特有の光合成で新鮮な空気をつくってくれるからだ。

 多くの魚にとっては棲み心地のいい生息環境(habitat)であり、とくにまだ小さい子供のさかなの稚魚の生育場(nursery ground)、託児所(nursery)となっている。
 こどもがきちんと育たないと、次の世代の世界は発展しない。それは魚も同じこと。

 さて、話は、イギリスの西に位置するアイルランド島。その北西部ウェールズ(Wales)には、海に突き出た魔女の鼻ような形の半島がある。Llŷn半島(Peninsula)だ。そこの、地図には名前も載らない、北の外れの海に面したごく小さな村ポルスディンラーエン(Porthdinllaen)の海岸で、Swansea大学による、海草藻場の生態調査が行なわれた。詳細は科学雑誌「PeerJ journal」に掲載される。

 調査の結果は意外。都市周辺の海に比べて生態環境が乱されていないと思いきや、田舎の海岸でも海草藻場が減少し、成魚の種類も、クルマエビ(prawns)やエビ(shrimp)などの無脊椎動物(invertebrate)も、タラ(cod)やアカガレイ(plaice)などの稚魚(juvenile)のいずれも、この地域の海岸では、環境破壊が進んでいることがわかった。

 調査対象となった海岸一帯は、貴重な動植物の生息地の保全を定めた「欧州生息地指令(The European Habitats Directive)」によって保護された場所である。

 どこの国でも同じようなことが繰り返されるものだと、改めて思い知らされる。指定だ、規制だと称しても、一部の人の、それも一時の娯楽、便宜、儲けが優先されて、やがて人々に、「物事の本当の重要さ」、「自然の貴重さ」が忘れ去られてしまうようだ。

                                    (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com