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生物は生き残れるか:「新絶滅期」に突入した地球―米研究報告 (BBC-Science & Environment, June 20, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/624/cpsprodpb/1094B/production/_83751976_83751975.jpg

 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ。偏(ひとへ)に風の前の塵に同じ。」と、琵琶法師は唄う。平家物語の名文の一節。

 いつの時代にもいるものだ。世の中に敵なし、したがって傍若無人。勝手放題、我がもの顔で、のし歩く怪物「たけき者」。
 
  今から6,500万年前の大昔にも、地球上には「たけき者」がいた。その名は「ダイノサウルス(dinosaurs)」。しかし、突如として地球を襲った巨大な隕石により、さすがの恐竜も絶滅の運命をたどる。このとき、他の多くの生物も地球上から姿を消した。第5次大量絶滅の発生(the fifth great mass extintction event)である。

 表題の記事は、深刻な地球の現状を明らかにした、アメリカDuke大学出版の研究報告の内容である。
 今、地球は、生物が次々に死に絶える「第6次の絶滅期」に入ったというのだ。地球上の生態系に大打撃を与えている原因は、もちろん隕石ではない。気候変動(climate change)、汚染(pollution)、森林破壊(deforestation)の3悪。

 1900年から現在に至る120年足らずの間で、400種の脊椎動物(vertebrate)が絶滅した。この数字は、それ以前の地球の歴史10,000年の間に、絶滅したと予測される種の数に相当する。すなわち、生物の絶滅が、過去に比べて114倍のスピードで進んでいるのだ。 国際自然保護連合(The International Union for Conservation of Nature, IUCU)の調査によると、毎年、新たに50種以上の動物が絶滅の危機に追いやられ、すでに地球上に生息する両生類の41%、ほ乳類の25%が絶滅の危機にさらされているそうだ。

 生態系を破壊すると、その「ツケ(knock-on-effect)」は必ず人間社会にやって来る。人類の次の次の世代、すなわち現世代の孫の世には、ミツバチはこの世から消えていると言われている。手間のかかる農作物の受粉を、文句の一つも言わずに、やってくれたのは、誰だったのか。そのとき、ミツバチはもういないのだ。
 また、マダガスカル(Madagascar)に生息する絶滅危惧ⅠA類のキツネザル(lemur)。将来、絶滅の危機に瀕する種として指定されてはいる。しかし、その肉を食用とするため、いまだに狩りの対象となっているのが現実だ。

 報告書では、まだ、望みはあるという。徹底した、かつ迅速な「生物多様性(biodiversity)の保護活動」が今こそ必要と訴える。
                                (写真は添付のBBC Newsから引用)

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