ダーク・チョコレート:食べる人に心臓病と脳卒中が少ない (BBC-News, June 16, 2015)
世の中には、不思議なことがいっぱいある。チョコレートの魔力(spell)もその一つ。
イギリスのAberdeen大学の科学者が、この魔力について真面目に研究した。西部の州ノーフォーク(Norfolk)に住む中・高齢者男女25,000人を対象として、「食生活が長期的な健康にどのように影響しているのか」について調べた。
その結果、被験者の20%はチョコ嫌いで食べない、残る80%は1日平均7g、中には100g(薄めの板チョコ一枚)もチョコを食べていることがわかった。
チョコを好む人の特徴として、比較的若い、やせ形、低血圧、糖尿病とは無縁、運動習慣がある、などの傾向が認められた。
これらの特徴は、いずれも心臓血管疾患(cardiovascular disease)を遠ざける特性(profile)である。さらに、チョコをたくさん食べる人には、エネルギー摂取量が多く、脂肪・炭水化物を多量に含む食品は好むが、タンパク質やアルコールの摂取を控えめにしていることも明らかになった。
さて、「チョコ好きタイプ」と「チョコ嫌いタイプ」の特徴が明確になったところで、両者の「健康比べ」が始まる。
データを分析した結果、「チョコ好きタイプ」は、「チョコ嫌いタイプ」に比べて、以下の病気(疾患)の発症リスクが低減されるという。
・心臓血管疾患(cardiovascular disease)の発症リスク -11%
・心臓血管疾患による死亡リスク -25%
・冠状動脈性心疾患による入院または死亡 -9%
・脳卒中(stroke)の発症リスク -23%
データが示すように、チョコは血圧を下げて、心臓病の発症リスクを下げている可能はある。 しかし、チョコに直接的な病気の予防効果(protective effect)があるとは断定できない。すなわち、「チョコを食べると健康になる」とまでは言い切れないのだ。
それは、なぜか。チョコには二面性があるからだ。上に述べた点がプラスの一面だとすれば、裏の一面は、食べると、人によっては肥満につながる可能性が生じること。したがって、肥満の心臓血管疾患の患者には、チョコの摂取を勧められないという。
なお、この研究結果は医学雑誌「The British Medical Journals "Heart"」に発表された。
(写真は添付BBC-Newsから引用)