今から約20,000年前のその昔、縄文時代と呼ばれた頃の話だ。古代人はドングリやクルミの木を住居の周りに植え、木の実、ナッツ類を重要な食料としていた。
それから、時は過ぎた。この21世紀、科学は発達し、生活は豊かになった。しかし、人間の思考(thought)、人と人との関わり(communication)、他者を思う気持ち(consideration)などの、人間が平和で安全に生きる上で欠かせない基盤ソフト(fundamental soft infrastructure)が、科学技術や医療技術の分野に比して、格段に進歩、発展したと断言できる人はどれほどいようか。
医療は、薬に頼りすぎていないか。健康は薬だけでは維持できない。
オランダのMaastrich大学で、興味ある大規模な医学調査が実施され、その結果が医学雑誌「The International Journal of Epidemiology(疫学)」に発表された。
1986年、Piet van den Brandt教授の主導する研究チームが、年齢55歳から69歳までのオランダ人男女120.000人以上の被験者に対し、毎日の食生活(dietary)と生活スタイル(lifestyle)に関する質問に答えてもらい、その10年後に、被験者全員の罹患・死亡率を分析した。
調査期間中(10年間)、ナッツ類(ピーナッツを含む)を毎日、約10g以上(クルミ一つまみ分)食べる習慣のある人は、ガン(cancer)、糖尿病(diabetes)、呼吸器系疾患(respiratory diseases)、神経変性疾患(neurodegenerative diseases)の病気に罹って死亡するリスクが、平均23%も軽減されることがわかった。
疾患別の死亡減少率は、以下のとおり。
・神経変性疾患 -45%
・呼吸器系疾患 -39%
・糖尿病 -30%
ナッツ類には次の成分が豊富に含まれている。
・単不飽和脂肪酸及びポリ不飽和脂肪酸(monounsaturated & polyunsaturated fatty acids)
・ビタミン類(various vitamins)
・植物繊維(fibre)
・抗酸化物質(antioxidants)
・生理活性成分(other bioactive compounds)
なお、ピーナッツバター(peanut butter)は塩分(salt)、トランス脂肪酸(trans fats)の含有量が高く、罹患・死亡率を下げる効果が認められなかった。
この研究では、ナッツ類摂取の、健康に及ぼす影響を確認することが、主たる目的だ。このため、ナッツを好む人は果物・野菜なども一緒に食べる傾向にあること、またその愛好者にはやせ形(leaner)の人が多いことなど、いわゆるデータ解析における緩和要素(mitigating factor)を十分考慮して分析が進められた。
ビールやお酒を飲んでは、高血圧、コレステロールを気にして、薬・サプリメントに手を出すお方。どうだろうか。たまには「コーヒーに、クルミ一つまみ」。ずいぶんといけるものだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)