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バイオ航空燃料:サトウキビ・バイオマスから精製に成功 (BBC-Science and Environment, June 8, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/834/media/images/83499000/jpg/_83499816_aircraftroadap.jpg

 上手い知恵は、なかなか出ないものだ。また、無い知恵を絞り出すようにして考え出された、せっかくの知恵も、世の悪だくみに使われてしまうことも多い。

 米国California大学の研究チームがサトウキビの搾りかすバガス(bagasse)からジェット燃料を精製することに成功したと発表した。その詳細は「The Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載された論文で説明される。開発された精製技術は、商業規模の処理プラントに適用が可能。

 研究チームの1人Alexis Bell教授は、バイオ航空燃料(aviation biofuel) の必須条件として次の3点をあげる。
 1.高いエネルギー密度(energy density)を確保するため、酸素の含有量(oxygen content)   は、ゼロであること。
 2.燃料の沸点が許容範囲内にあり、タービン部品の摩耗損傷を防ぐために、潤滑性   (lubricity)が高いこと。
 3.-40℃から-50℃の低温域でも、液体としての流動性を確保できること。 

 今日、世界中で飛行機が利用され、その利用客数は1日当たり約800万。2012年の調査では、世界のCO2 排出量の約2%が飛行機から排出されているそうだ。しかも、この割合は増加する傾向にある。このような背景から、2011年にバイオ航空燃料の使用が航空関係者の間で認められ、その研究開発が注目されているという。

 しかし、問題は、原料にある。Bell教授は、原料を廃棄物(waste material)バガスとする限り、食糧問題を引き起こすことは少ないだろうと見る。また、サトウキビは、他の作物の生育が不可能な耕作限界地(marginal land)で栽培できることも強みだ。

 ただし、この新しく開発された精製技術によって、従来の作物の栽培が放棄され、サトウキビ一色の耕作に変わる危険性があることは否定できない。また、サトウキビ栽培のため、アマゾンのジャングル(Amazon basin)が焼き払われ、大規模プランテーションが造成されることになれば、本末転倒。膨大なCO2 が排出され、深刻な環境問題を引き起こしかねない。

 「CO2排出量の削減」、「廃棄物の資源化・有効利用」を目指して、「知恵」は絞られた。
 さて、この知恵は、「金欲」、「権力欲」を抑えて、人類の幸福につなげることができるであろうか。

         (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com