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道ばた:野草(ラプンツェル)の究極の逃亡先 (BBC-Science & Environment, June 6, 2015

http://ichef.bbci.co.uk/news/736/media/images/83446000/jpg/_83446532_pyramidalorchidwith6sburnetblandfordbest.jpg

 

 雑草は、したたかで、少々のことではへこたれない。まるでの戦国時代の野武士だ。これに比べると、野草は、雑草に守られて育つお姫様のよう。可憐で美しいが、環境の変化に敏感で、その花の命も短い。

 イギリスの農業は、時代とともに変化し、1930年代に比べて、牧草地(meadow)が97%も失われてしまった。畢竟(ひっきょう)、そこに自生していた700種以上の野草も、繁殖地を追われ、最終的にたどり着いた先が、道ばた(verge)の草むらとなる。その野草のおよそ半数はイギリスの固有種(native flora)だ。

  しかし、国際的な環境慈善事業団体「プラントライフ・インターナショナル」( The charity Plantlife International, PI)によると、イギリスの野草の10%が絶滅(extinction)の危機にあるとされる。その中には、希少な野草、ノハラナデシコ(Deptford pink)、ハタザオ(tower mustard)、ノヂシャ(spiked rampion) 別名ホワイト・ラプンツェル(white Rapunzel)が含まれる。

  絶滅に拍車を掛けるのは、除草剤(herbicides)に殺虫剤(fertilisers)、それに不適切な道ばたの管理だ。花が咲き、種をつける前に、野草を刈り取ってしまっている。

 PIは提言する。「道ばたに自生する野草は、ミツバチや昆虫などの野生生物(wildlife)にとって数少ない貴重な生息環境となっている。これをきちんと管理することは、ドライバーや歩行者のいずれにとっても、安全で、快適な通行を保証することにつながる。」
 
 この記事で紹介された、イギリスの固有種spiked rampionは「ノヂシャ」と訳される。岩波書店発行「グリム童話選Ⅰ」(相良守峯訳)では「ラプンツェル(ちしゃ)」としている。「ちしゃ」とは、レタスのこと。しかし、グリム童話ラプンツェルは、このspiked rampion(学名:phyteuma spicatum)とする説がある。この植物の別名は「white Rapunzel」。その白い花は、日本のヒトリシズカに似るが、もっと大きく、穂の形をなし、凜と咲く。

 ラプンツェルのお母さんが、隣の魔女(sorceress)のハーブ・ガーデンに咲く、このspiked rampionを見て、魅せられ、食べたくて食べたくて死にそうになった、美しくも誘惑の強い花だ。

     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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