パリの地図は、大きなカタツムリの形をしている。そのカタツムリの殻が、らせん形に区分され、中央から時計回りに、1区、2区、・・・、20区と番号が付けられている。街並みの風景、治安、住宅事情は、区の別によって大分違う。一言でパリと言っても、パリのどの区にも、独自の顔と歴史があり、複雑なのだ。
表題の記事には、パリのどの区の出来事か明記されていないのが、残念。注意しないと、「群盲 象を撫でる」の類いになってしまう。または、偏見に満ちた話になりかねない。パリ16区の高級住宅地の瀟洒(しょうしゃ)な建物が、全て雨漏り、水漏れするとは、とても思えないからだ。
しかし、この記事を書いたルポ・ライターは、パリのどこかのアパートで、ずいぶんとひどい経験をしたようだ。
話はこうだ。
ある日、寝室のドアに水がぽたぽたと落ちてきた。息子の寝室の天井は、妙に膨らんで、垂れ下がり気味。大型ナイフで突っつくと、天井にたまっていた水が、ドバッと落ちてきた。なんという災難。さっそく配管工に来てもらい修理はしたが、その後数ヶ月は、かび臭い臭気と湿気に悩まされた。水漏れの原因は上の階に住む、よぼよぼ(doddery)おばあさん。おばあさんの洗濯機も相当にくたびれていて、水漏れし、床が水浸しになっていた。なお、運の悪いことに、おばあさんは、4,5日留守をしていた。
この件があってから、「なぜ、8月のパリで、アパートの水漏れが多いか」について、記者は考える。8月はバカンスのシーズン。パリジャン(Parisians)は家を空けて、水道水が使われなくなるため、水圧が上がる。ボロボロに古くなった配管は耐えきれなくなって、水漏れが起こる。
では、なぜ、水回りの古い配管を修理しないのか。それは、ひとえに、金がないから(Peaple are poor.)。フランスは、建築コストも労働賃金も高い。それに万事がなれ合いと来る。経済が停滞し、仕事がうまく回らなくなると、アパートの水漏れもひどくなる。古くから、よくあること(classic sign)だ、と指摘する。
小綺麗な街並みは外見だけで、パリに住む多くの人の心の中には、苦しみといがみ合い(bitterness and hostility)が増してきているようだ、と記者は見る。
少々、手厳しい批判で、この記事を閉じた。
(写真は添付のBBC Newsから引用)