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体の遺伝子活性・免疫システム:季節によって変わるの? (BBC-Health,May 12, 2015)

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 身の周りには、目に見えない、有害な細菌(病原体)が一杯だ。けれど、大丈夫。体の免疫システムが働いて、病気の感染から守ってくれている。この働きは環境変化に応じて変動し、人類の進化の過程で重要な役割を果たしたことがわかった。

 国際研究チームが、世界中から16,000人以上の血液と細胞組織のサンプルを集め、ヒト遺伝子の分析を行なった。この分析で、人間が保有する全ての遺伝子の数に近い22,00個について精査したところ、なんと、1/4の遺伝子の活性(gene activity)に、明確な季節変動が認められた。しかも、そのほとんどが、免疫機構、とりわけ免疫反応(有害な刺激に対する防御反応、炎症[inflammation])に関与した遺伝子であった。

 季節変化が著しい北半球、南半球の地域に住む人は、冬になるとインフルエンザに悩まされることになるが、この時期、免疫力に関与した遺伝子が活性化される。一方、年中気温が高い熱帯地域の人には、マラリヤなどの病気が発生しやすい雨期にその活性化が高まり、これとは逆に、常に寒いアイスランドの人の遺伝子は、一年を通してその活性を大きく変えることはなかった。
 なお、新陳代謝に関与した遺伝子にも、季節の移り変わりに応じた遺伝子活性の変化が認められた。

 先史時代の人類は、病気や食料・シェルターの確保に苦しんで、進化したと考えられる。生き延びる上で危機に陥ったとき、遺伝子の活性化が働くこのシステムは、人類にとって「救い」であったはずだ、と研究者は考える。現代人の遺伝子は、その特性を引き継ぎ、季節変化に応じて活性を調整しているという。

 なお、免疫反応が強すぎると、暴走し、守るべき正常な細胞を攻撃することが知られている。これは、リウマチ性関節炎の悪化を招く。

 研究結果は「Nature Communications」に発表された。

       (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com