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治療法の遅れた膵臓ガンを生き抜く!:唯一の方法とは? (BBC-Health, August 1, 2017)

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 すい臓 (pancreas) は胃の後に隠れた細長い器官。この部分に腫瘍 (tumours) が発生しても気づかないことが多く、早期発見が難しいガンの一つとされる

"About 9,600 people are diagnosed with pancreatic cancer in the UK each year, and fewer than 7% live beyond five years. Very little progress has been made in treating the disease since 1970s.
"Currently, just 8% of pancreatic cancer patients in the UK have surgery to successfully remove their tumour, because the majority are diagnosed at an advanced stage, when surgery is not an option."

[ イギリスでは毎年 9,600人が膵臓ガンと診断され(日本の診断者数は約 40,000人/年)、延命期間が 5年以上を越える人は 7%以下。しかも、その治療法が遅れていて、1970年代初頭からほとんど改善されていない。]
[ 現在、イギリスで、膵臓ガン腫瘍を手術で完全に摘出できる患者は、わずか 8%。その原因は、手術ができないほど、かなり進行した状態で膵臓ガンが発見されることにある。]

 手術が可能ならば、早ければ早いほど、手術の成功率は上がるという。
 「University Hospital Birmingham NHS Foundation Trust」の外科医 Dr Keith Robertsらの医療チームは、イギリス各地の病院と連携し、患者の照会 (referrals) と手術 (surgery)の迅速化に取り組んだ。
 さらに、従来、こだわっていた黄疸 (jaundice) の治療をカットすることにした。

 膵臓ガン患者 37名に対して、「早期発見・即手術」の臨床試験を実施したところ、手術の成功率は 97%であった。
 「術後の合併症 (post-operative complications)」、「再入院 (hospital readmission)」も減少した。

 ShropshireのMinsterley (ミンスターリー) 在住の Ms Kate Rigby (69歳) は、黄疸の症状があったが、膵臓ガンと診断されて、7日後に腫瘍の摘出手術が実施され、健康を回復したという。
 「Pancreatic Cancer UK」CEO、Ms Alex Ford は次のように言明する。

"Surgery is the only treatment for pancreatic cancer that can save lives."
[ 肝臓ガン患者の命を救うことができる唯一の治療法は、摘出手術だ。]
               (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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1億4千万年前、地球上に初めて咲いた花:パリ第11大学が再現 (BBC-Science & Environment, August 1, 2017)  

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 地球上に初めて花 (flowers) が咲いたのは、今から 1億 4千万年前。しかし、その化石が発見されていないため、原始の花の形は「なぞ (enigmatic)」だった。
 
 「Université Paris-Sud (パリ第11大学)」の Hervé Sauquet 准教授らの研究チームは、被子植物 (angiosperms) 792種の遺伝子データ (genetic data) に基づいて、flowering plants (花を咲かせる植物) の系統樹 (family tree) と花の構造特性マップを作成し、花の「evolution process (進化の過程)」を遡った。
 
 すると、このような花の姿にたどり着いた。
 花びら (petals)は「upturned (上に反り返って)」、萼 (sepals) と一緒に3枚一組の「輪生 (whorl)」配列。すなわち、花柄 (stems) を軸に、花びらが同心円状 (concentric circles) に開いた花だったと推定される。
 また、原始の花は雌雄両株 (bisexual) であることも分かった。しかし、その花の受粉を担ったのは風か昆虫かについては、明らかにされなかった。

 この「原始の花 (ancestral flowers)」が 1億4千万年の月日を掛け、地球上各地の気候・環境に適した 30万種を越える多種多様な花を進化させたことになる。

 なお、この一文をまとめるに当たり、次の「the guardian」の記事も参考にした。その明晰な内容と優れた英文力に敬意を表したい。ぜひ、一読することをお勧めする。

「the guardian」, August 1, 2017
「Mother of all blooms: is this what the last common ancestor of flowers looked like?」

               (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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毛のないミクロ熊「クマムシ」:宇宙でも生き延びる生物! (BBC-Science & Environment, July 28, 2017)

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 宇宙空間は -270℃で真空。放射線が飛び交う苛酷な環境だ。しかし、そのような自然環境にあっても生き抜ける生物が地球上にいる。「tardigrades (クマムシ)」と呼ばれる体長 1mm前後の生物だ。体型は毛のない熊に似ているが、丸い口に4対のズングリ足を持ち、その先端には複数の爪がある。

 主としてコケ (moss) や池 (ponds) に生息するが、その仲間は深海底から極地まで、ほとんどあらゆる地球上に生息している。たとえ、地球に「cosmic disaster (大惨事)」が起こっても、このクマムシは生き残ることが可能とさえ言われている。
 極端な乾燥にも耐性があり、数年間、カチカチになっても、水を掛けると息を吹き返す (spring back to life)。

 Edinburgh 大学の Mark Blaxter 教授らの研究グループは、このクマムシの DNA 情報を解析し、その生命力 (survival ability) のなぞに迫った。
 すると、
"Dry conditions trigger some of the creature's genes to produce proteins which replace missing water in their cells. Once water is available again it refills the cells dissolving the proteins,"

[ 生息環境が乾燥状態になると、この生物の遺伝子が働いて、ある種のタンパク質を作り出し、そのタンパク質で細胞内の水分を代用するようになる。しかし、水が与えられると、タンパク質の溶解した細胞内に、再び水分が補充される。]

 さらに、この生物の DNA設計図を解読すると、「long-standing controversy (長年、論争の的になっていた)」クマムシの正体が明らかになった。
 その決め手となったのは、動物の「embryo (胚)」発生の段階で、頭や尾、手足の位置を決定する「HOX genes (ホメティック遺伝子)」の数。クマムシの「HOX genes」は「roundworms (回虫)」と同じ5ヶだった。つまり、クマムシは「insects (昆虫)」ではなく、「worms (蠕虫)」の仲間だった。

 Blaxter 教授らは、クマムシの驚くべき生命力のメカニズムをさらに解明し、常温で「live vaccines (生ワクチン)」を輸送、貯蔵する手法の開発につなげたい考えだ。

               (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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エクソムーン:太陽系外惑星に、海王星に似た月があった! (BBC-Science & Environment, July 27, 2017)

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  恒星 (stars) に惑星 (planets) が存在すると、恒星の光が、その周りを周回する惑星によって一瞬遮られて、暗くなる。また、惑星が月を伴うとき、惑星に反射した恒星の光が、月の軌道上の通過 (transit) によって、一瞬暗くなる。天文学者は、この光の変化を頼りに、太陽系外の惑星や月を探している。

 NASAの「Kepler Space Telescope (ケプラー宇宙望遠鏡)」は、地球から 4,000光年の宇宙のかなたに浮かぶ恒星の光を観察し、これを周回する惑星に月 (exomoon) が存在する可能性があることを捉えた。
 Columbia 大学の天文学者 Dr David Kipping らは、月の確認を得るため、今年 10月に「Hubble (ハッブル宇宙望遠鏡)」にて「follow-up observations (追跡調査)」を実施する予定だ。

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 「太陽系外衛星 (exomoon)」の確証性の高い天体は「Kepler-1625b I」。その大きさ、質量ともに「Neptune (海王星)」とよく似ている。ただし、この月が周回する惑星は、直径が「Jupiter (木星)」と同じ位だが、質量は、その 10倍と推定されている。
 太陽系外「planetary system (惑星系)」が形成される過程で、その巨大な重力に捉えられた天体が、月になったと考えられている。

 しかし、これほど大きく、海王星に匹敵するような月は、これまで発見されていない。天文学者は「Nep-moon」と呼ぶことにしたという。

               (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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お酒を飲むと、糖尿病に罹りにくい?:デンマークの研究結果 (BBC-Health, July 28, 2017) 

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 お酒(alcohol)は薬か、毒か。それは今もって、なぞが多い。
 イギリス NHS (国民保健サービス) のガイドラインによると、アルコールの摂取基準は「1 週間に 14ユニット」。すなわち、中ジョッキ (568ml) で 6 杯分のビール (アルコール度 4%)、あるいは小さなワイングラス (125ml) で 7杯分のワイン (アルコール度11.5%) のアルコール量に相当し、「alcohol-free day (飲まない日)」を設けることも勧められている。
 
 さて、Southern Denmark大学「The National Institute of Public Health (国立公衆衛生研究所)」のJanne Tolstrup 教授らの研究チームは、70,000人以上を対象にしたアルコール摂取に関する調査を実施し、さらに、約 5年間にわたって、男女それぞれ 859、887名の被験者の追跡調査を進めた。
 その結果、「1週間に 3 - 4回の飲酒習慣のある人は、ほとんど飲まない人に比べて、女性で 32%、男性で 27%も糖尿病 (diabetes) の発症リスクが低い」とする結論に至り、その研究内容を医学雑誌「Diabetology」に発表した。

 とくに、「polyphenols (ポリフェノール)」を含む赤ワインには血糖値 (blood sugar)を下げる効果が認められたという。
 ただし、女性がウイスキー、ブランディなどの「spirits(蒸留酒)」を多量に飲むと、糖尿病の発症リスクは急増する傾向があることも分かった。

 このデンマークの研究結果に対して、イギリス「Diabetes UK」の Dr Emily Burnsは、アルコールの摂取量にはくれぐれも注意するようにと警告を発している。デンマークの研究論文は、決して「NHSガイドラインを越えて、お酒を飲んでも良い」とする「青信号 (green light)」には当たらないという。

"Consuming alcohol contributes to a vast number of other serious diseases, including some cancers, heart disease and liver disease, so people should keep this in mind when thinking about how much they drink."

[ アルコール摂取は、糖尿病の他にも、様々な病気に関連していて、ガン、心臓病、肝臓病などの深刻な病気の原因となることが知られている。したがって、このことを忘れず、お酒を飲んでいるときは、どれくらい飲んだかに気を配ることだ。]

               (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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どっちが幸せ?:$40で時間を買うか、ワインを買うか! (BBC-Science & Environment, July 25, 2017)

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 「光陰矢の如し(Time flies)」とは、よく言ったものだ。時間はドンドン過ぎてゆく。
 確かに、昔に比べて交通は便利になり、人々の収入も増えて、豊かになった。しかし反面、現代社会で失ったものも多い。その一つは「時間」。「Michael Ende (ミヒャエル・エンデ)」の「モモ」ではないが、この社会には「時間どろぼう」が、あらゆる暗闇に潜んでいる。
 このため現代人は、常に「time famine (時間不足)」に付きまとわれ、ストレスが困(こう)じると,、「anxiety (不安神経症)」や「insomnia (睡眠症)」を発症することもある。

 とにかく、日本人のほとんどは働き過ぎ。それに睡眠不足。夜遅く、勤め先から自宅に帰ると、「second shift (もう一つのお務め)」が待っている。遅い夕食の準備に、洗濯、掃除と、就寝前に済ます「house chores (家事雑用)」は山ほどある。

 さて、「時間ドロボウ」がいるなら、「時間を売る人」がいてもいい。そして、お金で買えるなら「時間」を買うのも、選択肢の一つ。

"Past research has found that people who prioritise time over money tend to be happier than to be people who prioritise money over time."
[ これまでの研究で、お金よりも時間を大事にする人は、時間よりもお金を大事にする人に比べて、幸せ度が高い傾向にあることが分かっている。]

 そこで、カナダ British Columbia 大学の Elizabeth Dunn 教授を中心とする国際研究チームは、US、カナダ、デンマーク、オランダに在住の成人 6,000人 (大富豪 600人含む)を対象に、「時間を節約するのに、どれだけお金を使っているか」について調査した。
 すると、毎月、時間を節約するためにお金を使っている人は、1/3 に満たなかった。しかし、その人達には「そんなものにお金を使いたくない」という人に比べて、「life satisfaction (人生の満足感)」が高かった。

 そこで、働いている人 60名にお金をあげて、使ってもらう実験に移った。各人に$40 (約4,400円)を「windfall (棚ボタ金)」として渡し、1 週間の間に、「時間を節約できるもの」に、そのお金を使ってもらった。職場にお昼の弁当を配達してもらう、近所の子どもにお使い (errands) をお願いする、あるいはクリーニング・サービスで時間を節約するなどだ。
そして、次の一週間で、今度はワイン、衣服、本などの物品購入に、$40を使ってもらった。

 その結果によると、お金は物品の購入に消費するよりも、時間を節約するのに使うと、人の幸せ度 (happiness) は増すことが分かったという。

 なお、そんな実験に参加できだボランティアがうらやましい。筆者など、「windfall」と聞いただけで「幸せ気分」だ。

 研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」に発表された。 

              (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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グリーンランドの純白の肌にシミ・ソバカス:これで海面上昇? (BBC-Science & Environment, July 24, 2017)

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 雪国の春は遅い。このため、昔から、日差しに温かみが増す早春の頃になると、農家では田んぼに降り積もった雪を一刻でも早く溶かそうと、籾殻などを焼いた炭や灰、煤 (すす) などを、その真っ白な雪の上に撒いた。
 すると、お日様の光がこれによく吸収されて、キラキラと輝いていた真白い雪の表面は、シミ・ソバカスが一挙に増えて薄汚れ、なぜか、大事なものが失われていくような、切ない気分になった。

 今、雪と氷に覆われた北の大地グリーンランドに、そのようなシミ(blemishes)、ソバカス (freckles) に加えてアバタ (pockmarks) まで現われ、glaciologists (氷河学者)を慌てさせている。 
 その理由は、田んぼの雪の上の炭などと同じ。グリーンランドの氷床(ice sheet)が急速に溶け始めたのだ。

"Currently the Greenland ice sheet is adding up to 1mm a year to the rise in the global average level of the oceans.
"It is the largest mass of ice in the northern hemisphere covering an area about seven times of the size of the United Kingdom and reaching up to 3km (2 miles) in thickness."
"This means that the average sea level would rise around the world by about seven metres, more than 20ft, if it all melted."

[ グリーンランドの氷床が溶け出して、現在、世界の平均海水面は、毎年 1mmずつ上昇している。]
[ 北半球にあって、イギリスのおよそ7倍の面積をカバーする巨大な大地の氷の塊は、厚さが 3km (2マイル) に及ぶ。]
[ したがって、このグリーンランドの氷が全て溶けると、世界の海水面は約 7m上昇することになる。]

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 では、誰が、グリーンランドに黒い炭や煤 (soot) を撒いたのか。
犯人は「algae (藻類)」だった。グリーンランドで初めて algae が発見されたのは1世紀以上も前のこと。しかし、これまで、その影響はほとんど無視されて来た。

 国連の気候パネル機関である「IPCC (気候変動に関わる政府間パネル)」が2013年に発表した最新版の気候評価報告書によると、今世紀末に海水面は、最悪のシナリオの場合、98cm上昇するとされる。しかし、その計算では、algae によって溶け出す氷の影響が、評価されていないという。

 グリーンランドの真っ白い氷床には、algae (藻類), bacteria (バクテリア), minerals (鉱物) が混じり合ってできた黒い粒子「cyroconite (クリコナイト)」の層さえ確認されるようになった。なお、algae の太陽光 (solar radiation) の反射率は約 35%。

 さらに悪いことに、Mr Stefan Hofer らの研究によると、過去 20年間、グリーンランドの夏は、晴れが続くようになった。太陽光を遮る雲の量は 15%も減少したのだ。

 これで、冬にグリーンランドに降り積もる雪の量と、夏に溶け出す氷の量のバランスは完全に崩れてしまった。
 グリーンランドの白い大地に、煤けた黒い汚点が広がって、その純白の輝きは失われ、雪も氷もジワジワと溶け出した。
 
 それでも人類のほとんどは、自分が生きている間は大丈夫と、高を括っているとか。

              (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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