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無敵(細菌)の敵は天敵!:救世主バクテリオファージの登場 (BBC-Science & Environment, June 8, 2017)

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 抗生物質 (antibiotics) は、患者の処方の他にも家畜の病気の予防・治療に大量に使用されている。イギリスでは、家畜に使われる抗生物質の割合は 40%。日本でも、魚の養殖から養鶏、養豚、畜産にと広く消費されている。
 しかし、農漁業分野で発生した「antibiotic-resistanat bacteria (抗生物質耐性菌)」別名「superbugs (スーパーバグ)」は「food chain (食物連鎖)」を通して、やがて人間に感染しかねない。

 過去100年以上にわたって、研究者は抗生物質を使わない次世代の治療方法「phage therapy (ファージ治療)」を模索してきたが、今一つ、信頼性に欠けていた。

 ところが、Leicester大学の Martha Clokie 教授らの研究チームは、養豚場のブタに感染する「salmonella bug (サルモネラ菌)」退治のファージを発見した。
 さらに、これを生きたままパウダー状に加工する技術を開発し、ブタの餌に混ぜて容易に感染措置ができるようにした。

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 さて、ファージ (phage) の正式名称は「バクテリオファージ (bacteriophage)」。「bacterium (バクテリア)」にギリシャ語「phagein (英語の eat の意)」がくっついた語で、「バクテリア (細菌) を食べるウイルス」のこと。その大きさは 25 - 200 nmと、細菌よりずっと小さい。

 COD は次のように説明する。
"a kind of virus which parasitize a bacterium by infecting and reproducing inside it."
[ 細菌に感染して寄生し、その細胞内で増殖するウイルスの総称。]

 また、表題の BBCの記事によると
"Phages occur in nature and are the natural enemy of many infectious agents. There are many phages, each of which is specific to different infectious bugs. The phages home in on these agents like a guided-missile. Once they find their target, they latch on to them their DNA into the bug rendering it harmless.
"Like all viruses, they reproduce inside the infectious bug and these new phages got on to hunt other infections."

[ バクテリオファージは自然界(土壌・海水中)に生息し、多くの感染菌にとって天敵だ。その種類は多く、種別ごとに攻撃対象の細菌種を異にする。ファージは、まるで誘導ミサイルのように、目標の感染菌を目がけて突入する。攻撃目標を見つけると、これに取り付き、自らの DNAを細胞内に注入して、感染菌を無害なものに変えてしまう。]
[ 全てのウイルスと同じく、ファージは感染菌の細胞内で増殖し、そこで新たに生まれたファージも、また他の感染菌を探し回る。]

 人間にとっては手強い嫌なスーパーバク。しかし、そのスーパーバグにとって、ファージはまったくしつこい嫌な敵だった。
 さて、果たしてこれで、「無闇矢鱈 (むやみやたら) unnecessary use」の抗生物質の使用状況が改善され、バクテリオファージは、悪の「スーパーバク」を倒してくれる正義の「スーパーファージ」になってくれるだろうか。
 地球のみんが、そのミクロの「英雄ウイルス」の登場を待っている。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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結婚って何なの?:体を丈夫にすることさ! (BBC-Health, June 7, 2017)

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  「結婚」については、その意味を敢えて辞書で調べるまでもないが、ドイツ語で「結婚する」は「heiraten」と言う。その原義は「家の調度を整える」。不思議と古い日本語の「竈 (かまど) を持つ」に似ておもしろい。 結婚の前には、きちんと「二人の暮らしに向けた準備をせよ」との古人の教えか。

 また、「Concise Oxford English Dictionary, COD」 によると、結婚する (marry) とは
・taking as one's wife or husband in marriage (妻または夫を得る)

つまり、男女ともに、互いの「愛する伴侶 (loving spouse)」と一緒になることだ。しかし、実は、その結婚が互いの健康に大いに役だっていることが明らかになった。

 Aston 大学「Aston Medical School」の Dr Paul Carte rらの研究チームは、イギリス在住の成人約100万人を対象にした 14年間に及ぶ ACALM(Algorithm for Comorbidities, Associations, Length of Stay and Mortality) 研究の結果、コレステロールが高い 50、60、70 代の男女で、結婚している人は、結婚していない人に比べて 14%も死亡率が低いことを発見した。

 ただし、「cohabiting (同棲)」、「separated (別居)」、「divorced (離婚)」、「widowed(未亡人)」の人については、明確な結果が得られなかった。
 なお、この研究では、「結婚が幸せなものであるか」については調査されなかった。

 どうやら、結婚すると、自分の健康に注意するようになるためと考えられているが、確かではない。Dr Carter らは、「underlying reasons (潜在理由)」の説明に迫られている。

 なお、「The British Heart Foundation, BHF (英国心臓基金)」のDr Mike Knaptonによると、
"The take-home message is that our social interaction, as well as medical risk factors such as high blood pressure, are important determinants of both our health and wellbeing."

[ 覚えておいて欲しいのは、私たちの健康も幸せも、高血圧などと言った医療リスクの要因だけではなく、社会的なつながりによって決定づけられているということ。]

 参考までに、心臓病のリスク要因 (heart risk factors) は次のとおり。

・smoking                           :タバコの喫煙
・high blood pressure     :高血圧
・high blood cholesterol    :高コレステロール
・diabetes                          :糖尿病
・being overweight or obese   :過体重、肥満
・being physically inactive    :運動不足
・family history of heart disease :心臓病の家系
・age (risk goes up with age)   :高齢(リスクは年齢とともに高まる)

ただし、Dr Carter は次の一言を付け加える。

"We're not saying that everyone should get married though."
[ だからといって、みんなが結婚しなければ、と言うつもりはないよ。]             

                   (写真は添付のBBC Newsから引用。)

タマゴは栄養豊富:1日1個で子どもが大きく育つ (BBC-Health, June 7, 2017)

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 戦後、日本が貧しさから抜け出るために、子どもでもスコップ・鍬 (くわ) を握り、手に血豆をつくって必死で働いた。それでも、学校の弁当のおかずに、タマゴ焼きを持って行ける子どもは限られていた。
 その日本もイギリス、フランス、ドイツ、北米と並んで豊かになった。豊かな国では、肥満、高血圧・高コレステロール値などを引き起こす食べ過ぎや偏食、運動不足さえ問題になっているが、世界には、常に空腹を抱え、「栄養失調 (nutritional deficiency)」に曝されている子どもも少なくない。
 「The World Health Organization, WHO (世界保健機関)」の統計によると、栄養不足(poor nutrition) などが原因で発育阻害 (stunting) に陥っている乳幼児 ( 5歳以下) は、世界中で 1億 5,500万人を数える。

 そこで、Washington 大学の Dr Lora Iannotti らの研究チームは、エクアドル山岳地域 (local highlands) の住民の協力を得て、タマゴの栄養効果を確かめるフィールド実験 (field experiments) を実施した。生後 6 - 9 ヶ月の赤ちゃんに毎日タマゴを1個食べてもらい、タマゴをほとんど食べない「control group (対照グループ)」と成長の違いを比較した。
 なお、研究チームは毎週、赤ちゃんの家庭を訪問し、お母さんがきちんと赤ちゃんにタマゴを食べさせているか、副作用 (side-effects) など何らかの問題が起きていないかをチェックした。
 
 さて実験開始から6ヶ月が過ぎた。医学雑誌「Pediatrics」に発表された結果によると、
 タマゴを毎日1個食べた赤ちゃんグループは、食べないグループに比べて「stunting(発育阻害)」の「prevalenge (罹患率)」が 47%も低くなった。

 アレルギーを心配して、子どもにタマゴを食べさせない人もいるが、タマゴは「お手ごろ価格で手に入りやすい (affordable and accessible」)。その上、栄養のバランスに優れているため、すばらしい栄養補充食品 (good nutritious complementary) だ。

 「The British Nutrition Foundation (英国栄養財団)」は次のようにアドバイスする。

"While eggs are a nutritious food to include, it's important that young children have a variety of foods in their diets. Not only is this necessary to get all the vitamins and minerals they need, but also to allow them to become familiar with a wide range of tastes and textures."

[ タマゴは確かに栄養価の高い食品に含まれるが、小さな子ども達にとっては、何でも食べることがとても大切。それは必要なビタミンやミネラルを十分に摂取するためでもあるし、色んな食べ物の味と歯ごたえに慣れ親しむためにも欠かせないことよ。]
                   (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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前立腺ガンの死亡率急減:早期治療にアビラテロンが画期的効果 (BBC-Health, June 3, 2017)

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 前立腺ガン (prostate cancer) の治療方法で、医学界は揺れている。
 昨年の9月、「Prostate cancer treatment 'not always needed' (初期の前立腺ガン:慌てて治療する必要なし!) [ Sept 15, 2016 ]」の記事で取り上げた Oxford 大学 Freddie Hamdy 教授らの研究によると、「初期の前立腺ガン (early stage cancer)」については「ようす見 (simply observed)」を選択しても、10年間の生存率は変わらないと報告された。

 また「The National Institute for Health and Care Excellence, NICE (英国国立医療技術評価機構)」も、ガンの進行以前に治療するのは、NHS (国民保健サービス) にとって「費用対効果 (cost-effective」が良くないとして来た。

 ところが、Birmingham 大学の Nicholas Jamesら の研究チームが、前立腺ガン患者約2,000人を対象にした大規模臨床試験の結果によると、前立腺ガンの初期の段階で、ホルモン療法 (hormone therapy) に「abiraterone (アビラテロン)」を組み合わせて使用すると、「powerful results (強力な薬剤効果)」が発揮され、生存率 (survival rate) も格段に上がることが確認された。

"Abirateron, also known as Zytiga, is a hormone therapy. Unlike chemotherapy which kills the cancer cells, it stops more testosterone from reaching the prostate gland to stifle the tumour 's growth."
[ アビラテロンは商品名でザイティガとも呼ばれるホルモン療法剤。化学療法がガン細胞を死滅させるのに対し、この薬剤は、前立腺から分泌される男性ホルモン「テストステロン」を抑えて、ガン腫瘍が拡大しないようにする。]

 なお、James教授らの研究成果は「The New England Journal of Medicine (June 3, 2017)」に発表された。

 「Cancer Research UK (英国ガン研究所)」chief executive (最高責任者) Sir Harpal Kumarは、次のように絶賛する。

"These results could transform the treatment of prostate cancer. Abiraterone can clearly help many more prostate cancer patients than was first thought."
[ James教授らの研究成果は、これまでの前立腺ガン治療をがらりと変えるものであり、当初考えられていた以上に、たくさんの前立腺ガン患者がアビラテロンによって救われるのは間違いない。]

 また、London大学「The Institute of Cancer Research (ガン研究所)」も「strongly welcomed (強く歓迎される)」と、その成果を称える。

 これで前立腺ガン治療の流れは、「as early as possible (できるだけ早く)」の方向に変わりそうだ。

 なお、
"Each year around 46,500 men are diagnosed with prostate cancer in the UK, and around 11,000 men die from the disease."
[ イギリスでは毎年、約 46,500人が前立腺ガンと診断され、11,000人がこの病気で命を落としている。]

 医師の医療責任 (medical responsibilities) は重い。
                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

 

 

ウェールズの子どもの入院:寝不足が原因だって? (BBC-News, June 2, 2017)

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 「寝る子は良く育つ (Sleep brings up a child well.)」と言う。では、眠れない子はどうなるか。これはイギリス「wales (ウェールズ)」で今起きている深刻な問題だ。

 1950年代、イギリスの子ども達は、家族そろって夕食を食べ、その後はおしゃべりをしたり、本を読んだり、ときには映画を観た。そして就寝時間になると、灯りを消してベッドに入った。
 しかし、現代っ子は忙しい。夜になっても「over stimulated (過剰に刺激され)」、「not having the chance to wind down properly (心の緊張が十分にほぐれることはない)」。

 この結果、Walesでは子どもの「sleep problems (睡眠障害)」が蔓延し、この3年間で、病院で治療を受けた子どもの数は、20%も増加した。
 また、2013年 3月以降の記録によると、Cardiff & Vale とPowys (ポウィス)を除くWales 全土で、「sleep disorder (睡眠障害)」を訴えて入院した子どもは 408人を数える。とくに 0 - 4 歳の子どもの入院が多い。

 睡眠は、脳を休ませるために必要不可欠だ。「Public Health Wales, PHW (ウェールズ公衆衛生局) によると

"Public Health Wales(PHW) said sleep was as important to a child's health and wellbeing as healthy eating and exercise, and children with poor sleep patterns were more likely to be obese."
[ 子どもには十分な食事を摂って運動することが欠かせないように、健康で丈夫な体をつくるためにも、睡眠はとても大切なことだ。睡眠を十分にとらないと、肥満になりやすくなる。]

 睡眠不足が、食欲を増進させるホルモン「ghrelin (グレリン)」の分泌を促すことは、よく知られている。つまり、十分に眠らないと、食べ過ぎを招くのだ。

 なお、夜、よく眠れない子どもはメンタルヘルスが冒され、体重・身長も伸び悩む。さらに、学校に出ては、疲れやすく、長時間、集中力を維持することも難しい。
 おまけに、「irritable (怒りっぽく)」、「distributive (注意分散型)」の性格を示しては、その子どもの「discipline (しつけ)」が大変だ。

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 さて、夜、子どもに本を読んであげる時間も習慣も失ったご両親。子どもにスマートフォンを買い与えても、長期的に見た子どもの健康と幸せは遠のくばかりか。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

 

その不思議な医療技術:心の悩みを書かせて、免疫力を高める! (BBC-Future, June 2, 2017)

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 この BBC の記事には「disclaimer (免責条項)」が付随する。記事の内容はあくまで「general information (一般的な情報)」であり、医学的、法的な医療責任を負うものではないことが記される。したがって、情報は読者の責任で、毎日の生活に活かすようにお願いしたい。

 1986年、Texas 大学の心理学者 James Pennebaker 教授は、学生の協力を得た実験で「something extraordinary (驚くべき医療事実)」を発見する。学生が心の中に秘めたトラウマや悩みごとを紙の上に書き表わすと、免疫力 (immunity) が高まり、その後 6ヶ月間、医師の診察を受ける機会が、「control group (対照グループ)」に比べて格段に減少した。
 今日、この医療手法は「psychoneuroimmunology (精神神経免疫学)」の分野において、「expressive writing (心情表記)」として知られている。

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 その後、この単純な筆記作業で本当に病状が改善するのか、asthma (気管支喘息)、arthritis (関節炎)、breast cancer (乳ガン)、migraines (偏頭痛) などに関する研究が続く。
 なお、Kansasで実施された小規模実験によると、短期間 (in the short-term) に限って、女性の乳ガン患者に対しては「expressive writing (心情表記)」の効果が認められたという。

 さらに、California Riverside 大学の Ms Joanne Fratarolli が進めた「meta-analysis(メタ分析)」に基づく研究では、学生の腕に局部麻酔 (local anaesthetic) をして「punch biosy (パンチ生検)」で傷をつけ、「expressive writing (心情表記)」が「傷口を癒す方向に働くのか」を調べた。結果は、やはり、「事前に悩みごとを紙に書いた学生」のグループの方が、傷の治りが早まったという。

 また、New Zealand の Nottingham 大学 Dr Kavita Vedhara の研究チームはボランティア 120名を「expressive writing group (心情表記グループ)」と「control group(対照グループ)」の 2 グループに分けて、「punch biopsy (パンチ生検)」で傷をつける実験を行なった。その結果でも、「悲惨な体験 (distressing events)」を紙に書いたグループの傷は、「control group (対照グループ)」に比べて 6 倍早く癒されることが示された。なお、紙に書くのが「before (事前に)」であっても「afterwards (後で)」も、その効果に差が認められなかった。

 Dr Vedhara が、このBBC記事の執筆者で「BBC' s Health Check」の Ms Claudia Hammond に語ったところによると、

 "The effect is 'short-lived, but powerful."
[ 医療効果は長くは続かないけど、強力だわ。]
                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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VCM耐性菌「スーパーバグ」:これを木端微塵に破壊する抗生物質 (BBC-Health, May 30, 2017)

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 どんなに「たまご酒」を飲んでも、あるいは漢方薬に頼っても、ある種の感染症では一向に埒が明かないこともある。そんなとき、医師が処方する抗生物質(antibiotics) の効き目に驚かされる。抗生物質の登場で、これまでどれだけの人命が救われたことだろうか。
 しかし、世界中の医師が、安易にまた大量に抗生物質を処方したせいで、これに抵抗力を持った「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA」などの細菌が出現する。
 そこで、1956年「Eli Lilly and Company」が開発したのが「vancomycin( バンコマイシン、VCM)」。当時は、最強の抗生物質と、もてはやされた。

 そして 60年余りが過ぎた。いくら最強とは言え、これだけ長期にわたって同じ戦法で細菌を攻めていては、敵にも変化が現われるのも当然だ。今度は、VCM がまったく効かない「Superbugs」すなわち「vancomycin-resistant staphylococcus aureus(VCM 耐性黄色ブドウ球菌、VRSA)」や「vancomycin-resistant enterococci( VCM 耐性腸球菌、VRE)」が発生する。
 なお、VCM 耐性腸球菌は、傷感染 (wound infection)や「血流感染 (bloodstream infection)」などの恐ろしい院内感染症を引き起こすことで知られる。

 そこで、「Scripps Research Institute (スクリプス研究所)」の Dr Dale Boger らの研究チームは、「Vancomycin」の分子構造設計を見直した結果、耐性菌の殺傷力を数千倍に高めた「超強力な抗生物質 (ultra-tough antibiotic)」の開発に成功した。

 研究者らが「mechanisms」と呼ぶ、分子設計のポイントは 3点。その一つは耐性菌の防御を崩すこと。次に、これを攻撃する武器 (ways) を 2種用意することだった。
 それは、難攻不落の城を攻め落とすことに似る。まず始めに城の周りの掘りを埋め、次に弓矢、鉄砲で攻め立てる。これで耐性菌は逃げる (dodge) 手立ても防御力も失い、続く攻撃で耐性菌の細胞壁 (cell walls) は完全に破壊される。

 Dr Boger らは、今後さらに検証実験を実施した上で、5年以内には実用化に漕ぎ着けたい考えだ。なお、研究の詳細は「Proceedings of the National Academy od Science of the United States of America, PNSA」に発表された。

 さて、人類は、この耐性菌との戦(いくさ)に勝利し、病院に巣くう耐性菌を一掃できるであろうか。
                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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