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これで脳の病気も怖くない!:ついに特効薬が発見された (BBC-Health, April 20, 2017)

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 「神経変性脳疾患 (neurodegenerative brain diseases)」とは、体の運動機能・制御に関わる脳の神経や脊髄 (spinal cord) の細胞が消失する病気だ。「Alzheimer's (アルツハイマー病)」、「Parkinson's (パーキンソン病)」、「multiple sclerosis (多発性硬化症)」、「Huntington's (ハンチン症)」、「prion disease (プリオン病)」、「dementia (認知症)」などが含まれる。

 一度、この部分の細胞が失われると、再生が難しいため、これらの病気の症状は破滅的 (devastating) だ。その原因はまだよく分かっていない。しかし、ウイルス説も有力。

 さて、人の体には病原体やウイルスに対する「自然防御システム」が備わっている。脳がウイルスに冒されると、どうなるか。それは次のように説明される。

"When a virus hijacks a brain cell it leads to a build-up of viral proteins."
"Cells respond by shutting down nearly all protein production in order to halt the virus's spread."
"Many neurodegenerative diseases involve the production of faulty proteins that activate the same defences, but with more severe consequences."
"The brain cells shut down production for so long that they eventually starve themselves to death."
"This process, repeated in neurons throughout the brain, can destroy movement, memory or even kill, depending on the disease."

[ ウイルスが脳の神経細胞内に侵入し、これをハイジャックすると、細胞内でウイルス・タンパク質を合成し、増殖を始める。]
[ 正常な細胞は、このウイルスの攻撃に対抗し、ウイルスの拡散を食い止めようとして、ほとんど全てのタンパク質合成を停止させてしまう。]
[ また、多くの神経変成疾患では、ウイルス防御を活性化させようと欠陥タンパク質の合成が進められるが、これはかえって正常な細胞を傷つけ、さらに深刻なダメージをもたらすことになる。]
[ 脳細胞が、タンパク質の合成を長期間停止させると、神経ネットワークが壊れ、最終的には死滅してしまう。] 
[ 脳の全域で、このプロセスが繰り返されると、病気によっては運動機能、記憶が破壊され、死に至ることもある。]

 これが神経変性脳疾患の発症メカニズムとすれば、その自然(免疫)防御システムをブロックすることによって、病気の進行を止めることができると考えられる。

 Leicester 大学「MRC Toxicology Unit」の Giovonna Mallucci 教授らの研究チームは、マウスを使った動物実験によって、抗うつ薬「trazodone (トラゾドン)」と抗がん剤「DBM (デベンゾルメタン)」の合剤 (compound) が、神経細胞の死滅をストップさせ、「prion disease (プリオン病) 始め多くの神経変成疾患に効果があることを突き止めた。

 今後、認知症患者を対象にした臨床試験 (human clinical trials) に取り組み、合剤の薬効が検証される予定だ。その結果が出るのは 2,3年後とか。
 なお、Mallucci 教授らの研究成果は医学雑誌「Brain」に発表された。

 認知症は言うに及ばず、不可解な脳の病気で苦しんでいる人は、世界中にたくさんいる。みんなが待ちに待った「wonder-drugs (特効薬)」が、一刻でも早く完成することを心から願いたい。
                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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糖尿病から腎臓病になるって!:タンパク質P2X7Rが悪魔の働き (BBC-News, April 20, 2017)

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[ 糖尿病は血液中の血糖値が高くなる病気。世界中で約 4億 1,500万人がこの病気に罹患している。腎不全を引き起こす主要な原因でもある。]
[ このため、糖尿病患者の約 40%が、腎臓病を患ってしまう。]

"Diabetes results in high levels of blood sugar and affects 415million people globally. It is the leading cause of kidney failure."
"About 40% of people with diabetes eventually develop kidney disease."

  では、なぜ糖尿病患者に腎臓病が発症するのか。
 Edinburgh 大学の Dr Robert Menzies らの研究グループは、その発症メカニズムにタンパク質 P2X7R が深く関与していることを突き止め、研究結果を医学雑誌「EBioMedicine」に発表した。
 
 P2X7R は、「kidney biopsies( 腎臓の生体組織検査)」で糖尿病患者のみに検出されるタンパク質。そのタンパク質が、腎臓の機能を弱め、「kidney scarring (腎瘢痕:じんはんこん)」を増やしていた。

 現在のところ、検証実験は糖尿病マウスを使った動物実験の段階。ただし、タンパク質 P2X7R の生成遺伝子を欠いた糖尿病マウスには、炎症 (inflammation) の傷跡すなわち「kidney scarring (腎瘢痕)」が認められないことを確認した。
 さらに、糖尿病マウスに P2X7R をブロックする薬を与えたところ、腎臓の炎症が食い止められて、腎臓内の「infiltrating kidney macrophages (湿潤マクロファージ)」の数が減少することも明らかとなった。

 この P2X7R ブロック新薬が人間に対して安全であることはすでに立証済み。したがって、研究の次の段階は、この新薬によって、深刻な状態にまで悪化した腎臓が回復できるのかを確かめること。

 今後、被験者を対象にした臨床実験 (human clinical trials ) で、人間に対してその効果が確認されるならば、糖尿病患者の治療剤として画期的な「blockbuster drug (超大型新薬)」となるに違いない。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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ジャガイモにルーバーブの毒:食べて死ぬ人も! (BBC-Future, April 17, 2017)

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 スイバ (スカンポ) の茎を噛むと酸っぱい。これは「シュウ酸 (oxalic acid)」が含まれているからだ。同じタデ科の仲間に「rhubarb (ルーバーブ):和名カラダイオウ」がある。形はフキに似ているが、その茎は赤く、太い。カナダに住んだとき、その茎を煮込んでつくった「rhubarb pies (ルーバーブ・パイ)」を、ご近所から戴いて、世の中には、こんなに酸っぱいお菓子もあるのか、と驚いた。

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 さて、その rhubarb、とくに、その葉 (leaves) の部分にはシュウ酸が多く含まれているため、これを食べ過ぎると命を落とすことになる。
 しかし、イギリスでは、戦時中、rhubarb の葉が野菜の代用食材として推奨されたこともあった。当然にして複数の犠牲者が発生し、その有毒性が再認識された。

 シュウ酸を摂り過ぎると、「dizzy (目まい)」、「vomiting (嘔吐)」などの症状の他に、「kidney failure (腎不全)」を引き起こす。身の保全のためには、rhubarb の葉も茎も食べない方が無難だ。
なお、イングランド北東部「Northumberland (ノーサンバーランド)」の「Alnwick Gardens (アルンウィック庭園)」の中の一角「Poison Garden (有毒植物庭園)」では、rhubarb は有毒な植物に分類、栽培されている。

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 次に注意が必要な野菜はジャガイモ。
 ジャガイモの芽には有毒な「solanine (ソラニン)」が含まれていることは、よく知られている。市販のジャガイモは、もちろん問題なし。

"When it's stored in sunlight, however, chemical reactions at its surface turn it green with chlorophyl as it prepares to sprout. At the same time, a substance called solanine is also produced."
"Solanine appears to interfere with the nervous system, impairing the normal functioning of ion channels in cells."

[ しかし、ジャガイモが日の当たる場所に置かれると、その表面で化学反応が起こり、葉緑素の緑色に変色する。これは芽を出す準備。同時に、ソラニンと呼ばれる有毒物質が形成される。]
[ ソラニンは、神経細胞内の正常なイオン・チャネル機能を阻害し、その神経系に支障を引き起こすと考えられている。]

 緑色に変色したジャガイモにも有毒なソラニンが含まれているため、「もったいない」からと言ってこれを食べると、diarrhea (下痢)、vomiting (嘔吐)、twitches (痙攣)の症状に悩まされることに成りかねない。
 なお、ジャガイモの葉、茎にも有毒なソラニンが含まれている。「主菜(entrees)」として利用しないこと。

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 さらに、「elderberry (エルダーベリー)」すなわち「アメリカ・ニワトコの実」も要注意。その実・葉はもちろんのこと、elderberry のどの部分にも有毒の「hydrogen cyanide (シアンカ水素)が含まれている。ただし、加熱すると、この有毒性は壊れ、無害となる。
 このため、くれぐれも、elderberry の生ジュースは飲まないこと。病院に担ぎ込まれた人がいるのでご注意。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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未来都市「5Gのハブ」を目指せ:スウォンジー・ベイの戦略 (BBC-News, April 16, 2017)

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 5G とは「5th generation mobile networks (第 5世代移動通信システム)」の略。先進国間でその技術開発とインフラ整備に鎬(しのぎ)を削っている、マイクロ波を利用した高速大容量通信システムのことだ。

 Wales の南の名門 Swansea 大学の「生命科学研究所(Institute of Life Science, ILS)」は、5G を応用した医療技術開発に成功した。
 包帯 (badage) に内蔵した小型センサ・モニタと医療機関を直接 5Gで結ぶシステムだ。これで、臨床医 (clinicians) は、患者の傷口 (wound) の状態ならびに患者の体調(activity level) を刻一刻とリアルタイムで確認することができる。もちろんデータは全て記録される。
 これまでの医療では、臨床医は患者を1ヶ月あるいは 3ヶ月に一度診察して治療を施していたが、このシステムを利用すると、伝送されてくる 5Gデータに基づいた「患者ごとに最適な治療 (tailor treatment)」が可能となる。

 なお、Swanee 大学の ILS が主導する「Smart bandage trials (スマート包帯臨床試験)」は、今後 12ヶ月以内にスタートする予定。
 この研究は Swansea Bay City (スウォンジー・ベイ市) が、未来の「デジタル・イノベーション」に向けた「5G test hub ( 5G研究拠点」戦略の一環であり、その経費は政策予算 £1.3 bn (約¥1,800億)の一部に含まれているとか。


                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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土星の月「エンケラドュウス」に生命体?:可能性が高まった! (BBC-Science & Environment, April 13, 2017)

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 土星 (Saturn) の第 2の月「Enceladus (エンケラドュウス)」は、直径約 500km。表面が「ice crust (アイス・クラスト)」で覆われている。内部を構成する岩石体は、土星から受ける強力な重力によって歪められ、そのときに発生する内部摩擦熱によっ高温になっていると考えられている。
 すると、Enceladus の地下数千kmには、氷が溶けた内海 (internal ocean) が広がっていることになる。

 その海の状態は、おそらく、地球の太平洋の海底で、北から南に長く延びる「mid-ocean ridges(中央海嶺)」で起きている現象に似ている。
 そこでは、「serpentinisation (蛇紋岩化作用)」と呼ばれる現象が繰り広げられ、鉄・マンガンを多量に含む「hot upwelling rocks (高温の岩石流)」が噴き出し、海水中のH2O分子を取り込んで蛇紋岩の結晶構造が形成されている。

 このときの反応で、副産物として放出されるのが水素 (hydrogen)。したがって、中央海嶺の周りには、その水素を、生命体の代謝 (metabolism) に必要なエネルギー源とする「微生物 (microbes)」がたくさん生息している。

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 土星探査機「Cassini (カッシーニ)」は、Enceladus から噴出された水蒸気を採取し、これを「The Southwest Research Institute (サウスウエスト研究所)」の Dr Hunter Wailらの研究グループが、まる1年費やしてデータ解析した結果、その水蒸気の噴出は、ほぼ間違いなく (arguably)、地下数千kmの内海で起きた「serpentinisation (蛇紋岩化作用)」に由来するものと判断されるという。それならば、Enceladus にも微生物がいるに違いない。

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 現在、太陽系 (the Solar System) で生命 (life) が存在している可能性の高い天体は、Mars (火星)、木星の月 Europa (エウロパ)、そして Enceladus だ。

 最初に、「地球外生命体 (extraterrestrial life)」が発見されるのは、一体、どこになるだろうか。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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ノコギリエイをバリバリ食う:どう猛なオーストラリア海水ワニ (BBC-News, April 12, 2017)

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 野生生物 (wildlife) の世界では、時代劇や西部劇のように、悪人とヒーローとが明確に別れてはいない。自然は「predators (食うもの)」と「preys (食われるもの)」とが共存する、情け容赦のない苛酷な生態系だ。
 その「predators (食うもの)」を単純に悪と決めつけるわけにはいかない。しかし「ワニ (crocodiles)」の貪欲さには辟易する。なにしろ、あの「冷たい目つき」がどうにも好きになれない。
 
 話は、西オーストラリアの北部「Kimberly region (キンバリー地域)」に生息する「ノコギリエイ (sawfish)」。口元 (snout) がチェーンソーの刃のようにギザギザに伸びたエイの仲間だ。現在、個体数が減少し、ごく近い将来、絶滅の危険性が極めて高い「critical endangered species(絶滅危惧種1A類)」に分類されている。

 その Kimberly region (キンバリー地域) の Fitzroy River (フィッツロイ川) の上流は、ノコギリエイの産卵域 (spawning area) になっていて、毎年、たくさんの稚魚 (snouts)が卵からかえる。そこでしばらく生息した後、juvenile (幼魚) となって海を目指し、川を下る。

 ところが、これを Fitzroy River の下流域 (lower reaches) で待ち受けるのが、どう猛な「saltwater crocodiles (海水ワニ)」と「bull sharks (オオメジロザメ)」。
 ノコギリエイは海に戻ると、体長 8mの巨大なエイに成長するが、その幼魚の時期、いくらノコギリの武器を振り回しても、ワニには到底、歯が立たない。
 ようやくたどり着いた河口ながら、後、一歩のところで、あっけなくワニの餌食(preys)となってしまう。

 Murdoch大学の David Morgan 准教授らの調査によると、捕獲したノコギリエイの幼魚39匹の内、約 60%に咬み傷 (bite marks) が見つかったという。
 さらに、これまで、このノコギリエイの「ノコギリ」がデコレーションの贈り物として珍重されたことや、長いノコギリが災いとなり、漁網に引っかるなどで、個体数を減少させて来た。

 今、オーストラリアでは、増え過ぎたワニが、減り過ぎたノコギリエイを食い荒らす光景が見られる。なんという壊れかけた生態系であろうか。

 なお、Morgan 准教授らの研究の詳細は、科学雑誌「Ecology」に発表された。
                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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パーキンソン病患者に光り:画期的な脳神経細胞の治療法が開発される (BBC-Health, April 11, 2017)

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 パーキンソン病 (Parkinson's disease) とは、脳内神経細胞が死滅し、神経伝達物質ドーパミン(dopamine)」が減少する病気。病気の進行 に伴って、手に震い(tremor) や歩行・運動機能障害などが現われる。

 なぜ、神経細胞が死滅するのか、その原因は不明。したがって、医師は薬を処方し、症状を和らげることはできるが、病気の根本原因を治療することはできなかった。これまでも、治療法の開発は進められて来たが、それらの多くは、損傷を受けた箇所に、新たなドーパミンニューロン (dopamine neurons) を細胞移植することに、目を向けられていた。

 そこで Reading 大学の Dr Patrick Lewis らの国際研究チームが取り組んだ治療法は、「小分子化合物の混合液 (a cocktail of small molecules)」を使用して、脳神経細胞を再プログラム (reprograming) 化させる方法。
 この混合液を人間の星状膠細胞のサンプルと混ぜ合わせると、「dopamine neurons」に極めて近い物質が得られた。
 次に、パーキンソン病の症状を示すマウスに、その疑似ドーパミンニューロンを注入したところ、症状が緩和されたという。

 しかしながら、研究は極めて初期段階に留まるため、この治療法の安全性ならびに人間に対して有効であるかを実証するまでには、今後、さらに多くの研究が必要とされる。

 現在、数百万人の患者が、根本的な治療を待ち望んでいるパーキンソン病。今回、開発された治療法が一刻でも早く「viable therapy (実行可能な治療法)」となることを期待したい。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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